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朝日02/27 13:53 ◇牛の皮膚から心臓細胞　クローン羊の英社が成功◇
　世界で初めての体細胞クローン動物、羊のドリーを生み出した英製薬会社ＰＰＬセラピューティクス社が、牛の皮膚細胞から心臓細胞をつくりだすことに成功したと発表した。心臓細胞は鼓動しているという。次は人間の皮膚細胞で実験するとしている。
　同社は「胚（はい）性幹細胞（ＥＳ細胞）を使わなくても、分化が進んだ細胞から別の種類の細胞をつくりだすことが可能になった」としている。
　同社の米子会社が、米政府からの資金で研究した。皮膚に分化し終えた細胞を、幹細胞という状態に戻し、今度は心臓細胞に分化させたらしい。
　いろいろな細胞になる能力を秘めた「万能細胞」としてＥＳ細胞が注目されている。しかし、赤ちゃんになる可能性がある胚を壊してつくるため、研究には倫理面からの抵抗が強い。
　分化して特定の役割をもった細胞から、別の細胞を自在につくれるようになると、こうした制約がなくなり、移植用の細胞や臓器をつくるための研究が加速する可能性がある。　傷ついたり不足したりした細胞を補う細胞移植は、糖尿病やアルツハイマー病、パーキンソン病などで研究されている。
　分化した細胞は通常、分裂しても同じ種類の細胞にしかならない。しかし、クローン動物研究で分化した細胞でも万能細胞に「リセット」できる可能性が浮上していた。ＰＰＬ社はこれを実証したとしている。
　◆笹井芳樹・京都大学再生医科学研究所教授の話
　皮膚のように増殖しやすい細胞から幹細胞がつくれるとすれば、画期的な研究の方向になる可能性はある。しかし方法の詳細が明らかにされていないので、検討すべき課題がどの程度あるのか不明だ。
[2001-02-27-13:53]