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毎日03/05 01:25 冷戦期、露大使館地下に米の盗聴用地下トンネル
　【ワシントン４日＝林路郎】四日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、米情報機関職員らの証言として、米国が冷戦期にワシントンの旧ソ連（現ロシア）大使館の地下に掘った盗聴用トンネルを利用した秘密諜報（ちょうほう）活動が、二月中旬にロシア・スパイとして逮捕した連邦捜査局（ＦＢＩ）元職員ロバート・ハンセン容疑者（５６）によってソ連・ロシア側に漏れていたと報じた。一連のスパイ活動や技術的理由から、巨費を投じた秘密トンネルは無用の長物になった可能性が高いとしている。
　ＦＢＩのフリー長官は今回のスパイ事件を「米国史上最大」と位置づけたが、同紙は長官発言の意味するところは、数億ドルに上る建設費をかけた同トンネルの存在がソ連・ロシア側に知られたことだという。
　現ロシア大使館の建設工事は一九七〇―八〇年代にかけて行われた。同紙によると、当時の大使館内の会話や通信傍受を目的に、高度な盗聴を専門に扱う国家安全保障局（ＮＳＡ）とＦＢＩがトンネル掘削工事を実施。同時に、大使館の建築工事を請け負った建設会社にＦＢＩエージェントを潜伏させ、盗聴装置を建物内に次々と仕掛けたという。
　過去十五年間スパイ活動をしていたハンセン容疑者が、いつからこの情報をロシア側に売り渡し始めたかは不明。ただ同紙は「技術的問題もあって、トンネルが情報収集面で機能していたかどうか怪しい」とする元情報機関員の言葉を紹介している。[2001-03-05-01:25]