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毎日04/27 19:10 ＜豊臣秀吉＞秀頼にあてた自筆書状を初公開へ　大阪市
　大阪市は２７日、豊臣秀吉（１５３７〜９８）が幼い後継ぎの秀頼（１５９３〜１６　１５）にあてた自筆書状を来月９日から、同市中央区の大阪城天守閣で初公開すると発表した。「くちをすい申すべく候」（キスをしますよ）などと、晩年に生まれた秀頼に盲目的な愛情を注ぐ様子が書かれており、「父親としての太閤さん」をうかがわせる資料として研究者らも注目している。

　発表した大阪城天守閣の中村博司館長によると、書状は縦４５センチ、横６６センチの高級和紙で、掛け軸に表装されている。旧岡山藩の家老の家が持っていたとされ、大阪市が昨年７月、京都市内の古美術商から約３４００万円で購入した。

　筆跡鑑定などで秀吉の自筆と確認した。秀吉の書状などを網羅した「豊太閤真蹟（しんせき）集」（東大史料編纂（へんさん）所編集・刊行）や「豊臣秀吉文書目録」「同補遺１」（いずれも名古屋大文学部刊行）に収録されていない。

　手紙の内容は「そなたの事、なに事もミるかゝミ（鏡）候てミヘ申候」などと、わが子への慈愛に満ちている。内容から文録２（１５９３）年の秀頼が生まれた直後か、その翌年に書かれたとみられ、現在確認されている秀頼あて自筆書状８通の中では、最も古いか２番目にあたるという。

　中村館長は「豪放な一方、細やかな心遣いをし、織田信長や徳川家康と比べ、人間性をさらけ出す秀吉の性格がよく表れている」と話している。公開は６月２１日まで、４階展示室で。　【土居　和弘】


　書状の現代訳

　先日は普請場まで見送ってくれて、うれしかったです。しかし、人が多くて口を思いのままに吸う（キスする）ことが出来なかったのが、今も心残りで忘れられません。まんかか（秀吉の正室の北政所）へも、伝言を確かに届けました。近々、そちらへ行って、口を吸いますよ。「大いとこ」（台所か）の表には絶対に出てはいけません。馬を見たければ、そちらへ引き寄せてご覧なさい。（中略）

　そなたのことが何でも見える鏡があって、見えていますよ。おかか（秀吉の側室の淀君）に口を吸われてはいけません。油断なさいますな。

　９月２６日

　おひろい（秀頼の幼名）様へ

　　　とと（秀吉）より

（後略）



[2001-04-27-19:10]