トップページに戻る
DBの部屋に戻る

読売03/02 03:04 光の波長に応じて伸縮、不思議な分子結晶発見
　光を浴びると、波長に応じて何度でも伸び縮みする不思議な分子結晶を、入江正浩・九州大教授らが発見した。一ナノ・メートル（ナノは十億分の一）単位で正確に伸縮するため、同教授は「極微小の機械の駆動装置に使えそうだ」と期待、二日発行の米科学誌「サイエンス」に発表する。
　この結晶は、ジアリールエテンと総称される人工の有機化合物。普段は無色だが、紫外線を受けると黄や赤、青、緑などの色に変わり、可視光を当てると再び無色に戻る。その仕組みを調べた結果、可視光では主に紫外線を吸収する分子が、紫外線を浴びると〇・〇二ナノ・メートルずつ小さくなり、赤色光を吸収しやすくなって、結晶全体が青く見えることが分かった。
　結晶の半分に可視光、半分に紫外線を当てると、紫外線を受けた方だけ、一ナノ・メートルずつ段階的にくぼむ現象が見られた。光で色が変わる物質は数多く知られているが、溶液や樹脂フィルム中の反応に限られていた。
　入江教授は「ジアリールエテンは色変化を一万回以上繰り返しても劣化せず、しかも固い結晶なので、極微小の駆動装置として応用が可能」と話している。

[2001-03-02-03:04]